みなとみらいとスケートボード 元横浜市議選立候補者でありスケーターの感想

みなとみらいと私とスケボー

みなとみらいでスケートボードの取り締まりが厳しいという話を目耳にする機会が増えたので、90年代からみなとみらいでもスケボーをしていた一当事者としての考えを述べます。ちなみに私が横浜市会議員選挙に出たのは2015年です。暖かくなってきたら迷惑にならないところでまたスケボーしたいなと思ってます。

横浜とみなとみらいの歴史

横浜市は日本最大の自治体であり、370万人を超す人口と広大な面積があります。横浜近隣の人以外には「みなとみらい」や「横浜中華街」の街並みをテレビや雑誌でご覧になり、横浜のイメージがあるでしょうが、そのほとんどが広大な住宅街です。また、畑や田んぼなどもあります。私が住んでいる場所は藤沢市と大和市との境の部分ですので、夏になればカエルの大合唱が聴こえるほど、のどかです。かまくら道や戸塚宿や保土ヶ谷宿・狩場など、横浜内陸部には歴史もあります(歴史上は旧戸塚区は鎌倉行政区)。

それにひきかえ、みなとみらいは新しく埋め立てて出来た街です。
1983年に「みなとみらい21」事業が着工、1984年に埋め立て工事開始、1991年にパシフィコ完成・インターコンチネンタルホテル開業、1993年には横浜ランドマークタワー、1994年に三菱重工横浜ビル完成、1996年けいゆう病院移転開業と続き、2002年には赤レンガパーク全面完成と、何もないところがどんどん魅力的な街になっていきました。2003年、当地区初の高層マンションが竣工とあり、徐々にみなとみらいで生活をする居住者が増えてきます。みなとみらいには1万人まで住むことが出来ます。(横浜市民372万人-2022年現在)

みなとみらい21の事業目的

みなとみらい21の事業目的には、
「横浜の都心部は関内・伊勢佐木町地区と横浜駅周辺地区に二分されていました。みなとみらい21はこの2つの都心を一体化し、ここに企業やショッピング・文化施設等を集積します。これにより市民の就業の場や賑わいの場を創出し、経済の活性化と経済基盤を確立することで、横浜の自立性を強化します。」と記載されています。

スケーターは先住民

私がみなとみらいにスケボーをしに行ってた時期が1997年くらいからだったと思います。その頃は「美術館前」というスポットを根城にする桜木町スケーター達がいて、そこに滑りに行ってる人と知り合い、連れてってもらいました。珍しく同い年のスケーターとも知り合い、一緒にスケボーをして交流を深めました。みなとみらいにマンションが建つ前からスケーターはみなとみらいでスケートボードをし、みなとみらいの街の移り変わりを見てきました。私より上の世代のスケーターはそれこそもっと前からみなとみらいでスケボーを自由に楽しんでいたでしょう。住宅がなかったことによって警察官が出動する必要(110番通報)がなかったからです。

嫌いだから110番でもOK?


みなとみらいでスケーターがスケボーをしているのは日常の風景であり、今ほどのバッシングはありませんでした。もちろん、場所によっては警備員の方々にご面倒をかける場合も多々遭遇しました。ただ、ワールドポーターズは厳しかった印象があります。警察官の方に何度か咎められることを経験しました。しかしながらお巡りさんが登場する「タイミング・さじ加減」は一体なんなんだろうか。ストリートでスケボーをしてきた人間なら当然わかりますが、「110番通報があったから」「今日のところは解散してくれ」と現場のおまわりさんは仰います。つまり通報があれば警察官は駆けつけ、対応をしないといけないのです。果たして通報は適切なのかどうかは関係ありません。
諭すように優しく言ってくれるおまわりさんが大半でしたが、中にはいきなり激昂してくるお巡りさんに出くわしたこともあり、仲間が帽子を叩かれたことを記憶しております。どっちにしても「しょうがない、移動するか」と当然なります。

警察・行政をいじめるモンスタークレーマー問題

110番通報や行政へのクレームに関して一部度がすぎている判例や対応が相次いでいる。保育園ですら反対運動が起きて頓挫するのだから、スケートボードなら尚更である。怒りにまかせた電話をその都度対応しなければならない現場職員の心労は無視できるものではないと思うし、そのような記事も見受けられる。
「110番」を受ける警察官の知られざる憂鬱(東洋経済)

モンスタークレーマーは前述の激昂タイプのお巡りさんを作り出すひとつの要因でもあるし、過度な心労や業務妨害でもある。

取り締まりに積極的な所轄の戸部署

2020年-4名-神奈川県警戸部署
スケボーのため無断で侵入 県警、男性4人を書類送検へ(神奈川新聞) 
2021年3月-8名-神奈川県警戸部署
スケボー目的無断侵入、8人書類送検 「滑りやすそうだと」(神奈川新聞)

スケートボードへの通報がなくなるように積極的に書類送検をしている状況です。日本で一番厳しいのが戸部署管轄のみなとみらいです。住民からの通報ですので警察は現場へ行き、対処しなければならないのは当たり前です。これを怠ると通報をした人は「職務怠慢だ!」と怒り(通報の時点で怒ってますが)、上司などから怒られるだろうことは容易に想像できます。

90年代には警察署もバックアップしたスケボー大会もあった。

補導員会スケボー大会 神奈川県警
90年代、横浜市泉区の遊水池でスケートボード大会が行われた。泉区の「補導員会」の会長をなさってた大貫会長がスケートボードへの苦情問題に対し、青少年育成のスポーツとして捉え、練習に打ち込めるように大会を開いてくれました。私もその大会に出場した一人です。地域の有力者が若者に寄り添った判断をしてくれました。これは地域差や時代差・人物差によるものでしょうか。

みなとみらいは住宅街?

そもそも「みなとみらい」のような街には活気があってくれなければ困ります。みなとみらいに居住区を作ったことが間違いだったのではないだろうか。そのうち商業施設がうるさいとか言い出したらどうするんだろうか。イベントなどもクレームで出来なくなって廃れていくのではないか。住むところがないから埋め立てたのではないはずです。横浜の未来が「排除だらけ」であって欲しくはない。

ドラマによる悪いイメージ

たまたま目にした刑事ドラマでスケーターが極悪犯罪者として扱われていた。それは高齢者に人気の刑事ドラマシリーズ「相棒」にて行われた。

相棒20第15話
密売人がスケボーに乗って、手にはナイフ。

相棒シーズン16第12
手にはナイフを持ち、ジェイソンのようなマスクをしたスケーター2名が特命係と格闘

これらの描写を見て、スケートボードの知識に乏しい人たちは「スケーター=極悪人」と考えるようになります。いくらオリンピック競技になってもあの映像であるような場所で行うスケートボードは一生見ることはありません。「近所のスケーター=ドラマのような極悪人」という風に感じ、それらがヘイト要素を作り、警察への過剰な通報や意識作りに繋がっていると言っても過言ではありません。

スケートボードと多文化共生


地域付き合いも少なくなってきた現代で、共通項を持って年齢も身分も国籍も関係なく集まり、没頭すること、大切なのではないでしょうか。スケートボードを通し、厚木基地勤務のアメリカ人と仲良くなったり、90年代後半に出た初めての大会では日系ブラジル人の存在やスケボーの格好良さを知ったり、障がいを持つスケーターにも出会い、スケートボードを通して学んだことの一つは、所謂「多文化共生」や「ダイバーシティ」でもありました。それこそ、スケートボードの歴史には日系人が深く関わっています。映画にもなったドッグタウンのメンバーを見ても明らかですし、その後脚光を浴びたクリスチャン・ホソイなど錚々たるメンバーがいます。今抱えてる日本の「移民コミュニティ」と「日本人コミュニティ」の分離を繋げる鍵の一つではないでしょうか。他の競技のように直接的に戦うことなく、讃えあうのがスケートボードです。

騒音の反対には防音工事助成で解決?

そもそも度が過ぎるクレームを入れる人たちは子ども時代、どういった場所でどういった遊びをされてたのであろうか。家の前の道路などで壁当てやキャッチボールをしなかったのか、空き地で遊んだ経験、缶けりや鬼ごっこをしなかったのか?と言っても会話が成立するわけがないでしょうから、例えば厚木基地周辺の住宅が「防音工事助成制度」があるように、騒音問題には計測などを行ない、なんらかの方式で「防音工事助成制度(仮)」を行うのが解決策ではないであろうか。そうすれば騒音を軽減することが出来るので問題は解決しそうだ。

防音工事なんて意味ない?

防音工事で騒音問題はクリア出来るでしょう。問題が騒音であれば。しかしながらそれでも反対する人は反対します。「治安が」「風紀が」など、その人の主観次第でどうにでもなります。確かに私も家の前に旧車會がたむろしてたら怖いです。プロレスの道場だったら安心かもしれませんが、総合格闘技だったら怖いとか。ただ、昨今見受けられる報道や判例などを見ると明らかに街にとっての損失が大きいアンバランスな内容が散見されます。
西東京いこいの森公園 一部利用中止について(噴水等)
噴水ですらこの有様です。せっかくの公園が水の泡ですね。しばくぞ!ならぬ、裁くぞ!であります。クレーマーは神様です状態。

まとめ

選挙に出た時、スケボーにはなんも言及しませんでした。というのは、スケボーパークって受益者少ないのに税金で作る必要あるの?って意識があるからですし、今もそう思ってます。あったらいいな!とは思います。ただ、お金をいっぱい掛けた立派なスケボーパークもいいけど、それよりも身近な「スケボーが出来る場所」が複数あった方が子どもたちにも利用しやすいです。1個スケボーパークができたことと引き換えに警察対応(110番通報)が厳しくなるようではマイナスです。通えない子どもも出る。だったらスケボーパークなんて無い方がいい。ストリートスケートを肯定も否定もしない。ただ、書類送検までするなら、スケボーパークは必要だ。